開催概要
- 開催日:平成23年5月19日
- 国会:第177回国会
- 会議:参議院法務委員会 第11号
- 対象法律案:民法等の一部を改正する法律案(平成23年法律第61号)
この回のポイント
参議院法務委員会。参考人招致・参考人質疑。
このページは民法等改正案の審議区間を中心に、発言を編纂抜粋しています。同日の他議題は必要に応じて除外しています。
発言
各発言は「要旨」(編纂による言い換え要約)と「原文抜粋」(会議録からの短い引用)を分けて示します。評価や賛否の断定はしません。全文は国会会議録のリンクで確認してください。
この回の発言者(人物)
浜田昌良
所属・肩書
公明党
発言要旨(要約)
審議中の論点について説明・答弁した。
原文抜粋
民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。 本日御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授中田裕康君、関西学院大学人間福祉学部教授才村純君及び財団法人全国里親会運営委員会委員青葉紘宇君でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
(会議録 p.1)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
養育費の定め方・確保に関する論点に触れた。
原文抜粋
本日は発言の機会を与えてくださいまして、ありがとうございます。 私は民法を専攻しておりますが、今回の法案に関する法務省や厚生労働省の審議会、あるいはそれに先行する法務省の研究会のメンバーだったわけではありません。また、特にこの問題について専門的に研究してきたというわけでもありません。ただ、七、八年前から家族法改正について考える研究者グループの研究会に参加してきましたので、そのようなことからお呼びいただいたのではないかと思っております。
(会議録 p.1)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
養育費の定め方・確保に関する論点に触れた。
原文抜粋
本日は発言の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。 私は長年、児童相談所の児童福祉司をやっておりました。法律の専門家ではございませんので、法律の在り方に関する包括的といいますか理論的な話は御専門でいらっしゃる中田参考人が今お話しされたところでございます。私の方からは、虐待対応の実践現場からこの度の改正法案をどのように受け止めているかについて若干意見を申し上げたいと思います。
(会議録 p.3)
青葉紘宇(参考人)
所属・肩書
財団法人全国里親会運営委員会委員/参考人
発言要旨(要約)
親権と監護の関係について説明した。
原文抜粋
私は、里親という立場でここに臨んでいるつもりでおります。全国里親会といたしましては、この虐待対応の流れについて、早期の実現をお願いしたいと思っております。一日も早い成立をお願いしたいと思っております。監護、教育についての親権が子供の利益のためにあるという考え方は画期的なものと思っておりまして、我々子育てに従事する者として肝に銘じてまいりたいと思っております。 また、児童施設や里親は親権問題と隣り合わせに組み立てられております。絶えずぎくしゃくといいますか、いろんなすり合わせのあるところです。
(会議録 p.4)
田城郁
所属・肩書
民主党・新緑風会
発言要旨(要約)
懲戒に言及した。
原文抜粋
まず、お三人の参考人の方のそれぞれの立場からの意義深いお話をお聞かせいただきました。大変ありがとうございます。 まず、聞きたいこといっぱいあるんですが、十五分ですから、懲戒権ということが一つの論点になっていると思うのですが、懲戒というのはしつけというふうに考えてよろしいと思うんですが、しつけがあるから虐待をしてもいいんだというところに結び付いてしまうというような、短く言えばそういう問題があると思いますけれども、しつけと虐待の境界というのもまたどこで線を引くかということは非常に難しいんではないかと思うんですが、今回の改正でも懲戒権といいますか残りましたが…
(会議録 p.6)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
親権と監護の関係について説明した。
原文抜粋
先に親権の方を申しますと、親権の概念がかつては父ないし親の権力であるという時代があったんですけれども、そういう発想だと懲戒権は当然のことだと、こうなるわけです。ところが、だんだん親権の概念が日本の中でも外でも、親の権利とともに義務である、あるいは親の責任である、あるいは親が子のことを配慮する義務ないし権利だというふうに変化してきますと、親権の中で懲戒権をどう位置付けるのかが微妙になってきます。せいぜい監護教育権の一内容とすればいいんじゃないかということになります。
(会議録 p.6)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
懲戒に言及した。
原文抜粋
そういうふうに考えますと、今回この懲戒権等の行使に当たって、やはり子供の利益に配慮しなければならないということが盛り込まれているわけですから、子供の利益に沿わない、つまり子供の利益を損ねるということはやはり子供の正常な心身の発達を損ねるということに等しいわけですから、そういう意味で、どういいますか、虐待は許されない、つまり懲戒権の行使の下に虐待を正当化することは許されないということが明確になって、そういう意味では評価したいなというふうに思っております。ちょっと回りくどい答えになりましたが。
(会議録 p.6)
森まさこ
所属・肩書
自由民主党
発言要旨(要約)
養育費の確保・履行の仕組みについて質問した。
原文抜粋
参考人の皆様、本日は大変参考になるお話ありがとうございました。また、参考人の皆様の日ごろの福祉に関する御活動に敬意を表します。 本日は、震災孤児について御意見を伺いたいと思います。 私、福島県のいわき市に住んでおりますが、震災孤児が被災地全体で百四十人を超え、今もなお増え続けております。福島県だけで申しましても、五月十七日現在で十八人であります。浜通りの新地町、相馬市、南相馬市、浪江町、いわき市、こちらの方で、津波で又はその他の原因で震災により両親を亡くされたという孤児がおります。
(会議録 p.7)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
養育費の定め方・確保に関する論点に触れた。
原文抜粋
それと、フォローアップですね、施設へ入った後の。これにつきましても、先ほど申し上げたように、施設自体が子供たちのパニック行動に追われてなかなか個別のニーズを踏まえて個別に丁寧にかかわっていく余裕がありませんので、そこは手厚くする必要があるのではないかというふうに思います。 それと、養育費につきましては、ちょっと私はここは余りよく存じ上げないんですが、特に生活保護とか他の制度との関係でどうなのかというところが検討していく余裕があるのではないかなというふうに思います。 以上でございます。
(会議録 p.8)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
養育費の定め方・確保に関する論点に触れた。
原文抜粋
今の緊急事態については、まずこのお二方の参考人がおっしゃっていただいたような対応ということになると思うんですが、民法が関係してくるとすると、その次のステージで未成年後見人をどのように活用するかということかと存じます。それについては、先ほど申しましたとおり、更に利用しやすくできるような運用がなされればと思います。
(会議録 p.9)
木庭健太郎
所属・肩書
公明党
発言要旨(要約)
参考人の指摘を踏まえ、法案上の論点を確認した。
原文抜粋
まず、才村参考人にお尋ねをしたいと思います。 先ほども御指摘あったように、親権喪失宣告については効果の大きさから申立てにちゅうちょするということが指摘されて、実質的にはほとんど利用されずに今回親権停止制度が導入されるということになったわけですけれども、やっぱりこの親権停止制度を導入した場合、児童相談所の運用において留意すべき点とか懸念について、もう少し御意見があれば伺っておきたいと思います。
(会議録 p.9)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
審議中の論点について、手続負担・施行・運用の点を説明した。
原文抜粋
さらに、今非常に大きな課題になっています、その親子分離をしてもやはりできるだけ早い時期に子供が平和な家庭に戻っていく、つまり家族再統合をいかに実現するか、これが非常に重要な課題になっています。 こういった家族再統合援助においても、二年後という大きな節目が設けられることによりまして、援助目標やそれまでに達成すべき課題について親と児童相談所が共有しやすくなるのではないか。また、停止解除の申立てを条件として児童相談所が親に対して指導を受けるよう説得するといった運用を行えば親の動機付けにつながる、そういったことも期待できるのではないかというふうに考えております。
(会議録 p.9)
木庭健太郎
所属・肩書
公明党
発言要旨(要約)
親権、同意に言及した。
原文抜粋
里親委託を推進するため様々な施策が講じられているんですが、施設なら同意するけれども里親では同意しないというような親もいらっしゃると。この親権停止制度ができれば、親権を停止させた後で、親の同意が得られなくても里親に委託する可能性もあると、これは私どもが前回児童相談所を視察した際にそういうこともお聞きしたんですが。
(会議録 p.9)
木庭健太郎
所属・肩書
公明党
発言要旨(要約)
親権に言及した。
原文抜粋
つまり、里親と親権者の間でトラブルというのが生じた場合、具体的に里親としてはどういうふうな解決を具体的になさっているのか、もし何か例でもあれば青葉参考人からお聞きしておきたいと思います。
(会議録 p.10)
木庭健太郎
所属・肩書
公明党
発言要旨(要約)
親権と監護の役割分担について確認を求めた。
原文抜粋
今回、児童虐待の防止という観点から親権法の一部について改正が行われたわけでございます。ただ、現代においては、夫婦の別居、離婚、再婚、珍しいこともなくて、やっぱりそれに伴って子に対する親権や監護の在り方など、全般的な検討も必要な問題もあるでしょう。先ほども、中田参考人自体も検討しなければならない課題があるということもおっしゃっておりました。
(会議録 p.10)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
父母の合意がない場合の共同親権認定について、裁判所の判断枠組みを説明した。
原文抜粋
もうちょっと広げると、親子法ですと、実親子の間ですと、親子関係の規律の基本的な枠組みをどう考えるのかですとか生殖補助医療の問題ですとか三百日問題とかありますし、それから、養子法ですと、成年養子と未成年養子との規律を分けて考えるのかどうか、特別養子縁組の成立要件を緩和するか、あるいは実親子、養親子通じて子の氏をどうするか。
(会議録 p.10)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
審議中の論点について、手続負担に言及した。
原文抜粋
ただ、非常に難しくて、自信持って言えないんですけれども、例えば家庭内暴力のような一定の事由がある場合には返還しなくてよいということになるんだろうと思いますけれども、その事由をどうやって適切に設定できるのかと、この辺りが決め手かなと思っております。それから、返還を命じた場合にどのようにしてそれを強制するのかも問題になるわけなんですが、これは単なる手続のことだけではなくて、そういった手続の中で一番傷つくのは子供でありますので、その子供のケアが非常に重要になると思います。
(会議録 p.10)
桜内文城
所属・肩書
みんなの党
発言要旨(要約)
養育費の不履行への対応(履行確保・立替え等)について質問した。
原文抜粋
本日は、三人の参考人の皆さんの御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。 まず一つ目に、中田参考人に民法の改正案についてお尋ねいたします。 親権が子の利益のために行われるべきことという理念が明確に示されて、この点は私自身も大変評価するところでございます。それとともに明文化されましたのが面会交流及び養育費であります。
(会議録 p.10)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
養育費の履行確保の仕組みについて説明した。
原文抜粋
虚偽の申立てがどの程度あるのかということはちょっと私は存じ上げませんけれども、ただ、よく古くから言われておりますことは、まず子供を実力で確保するということがいいじゃないかという勧めを受けることがあるなんということも聞いたことはあります。それに対しましては、従来は人身保護手続が中心だったんですけれども、近年では家裁の方の判断でなされるということになっておりますが、さて、その上で、どうやって現実に養育する人を決め、養育費を履行してもらえるのかということが問題となってくると思います。
(会議録 p.11)
桜内文城
所属・肩書
みんなの党
発言要旨(要約)
単独親権についての見解を述べた。
原文抜粋
二つ目に、三人の参考人の皆さんにお聞きしたいと思います。 今、単独親権をどちらにするかというような話があったわけですけれども、私がこれは勝手に素人ながら推測するに、元々日本の旧憲法下におけます家族制度というのは、家というものがありまして、仮に、別れた、離婚した場合に、家で子供を養育するというふうな大前提があったんだと思います。戦後そういった家制度というものがなくなりまして、しかしながら、離婚の際の親権の在り方というのは単独親権のまま残ってしまったんではないのかなと。
(会議録 p.11)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
審議中の論点について説明・答弁した。
原文抜粋
その上で、現代にあって家族の在り方をどのように考えるのかなんですけれども、先ほどもちょっと申しましたけれども、家族自体が非常に多様化しているわけでございまして、その多様化した家族の中で、それぞれが持っている家族のイメージが違っているのではないかと思います。そうすると、法制度をつくる際に、どのような家族モデルを想定するのか、あるいはそもそもモデルを想定すること自体についてそれがいいのかどうかというようなこともあろうかと思います。 ちょっと抽象的なお答えになっておりますけれども、そんなことを考えております。
(会議録 p.11)
井上哲士
所属・肩書
日本共産党
発言要旨(要約)
親権と監護の関係について説明した。
原文抜粋
三人の参考人の方、本当に貴重な御意見ありがとうございます。 まず、中田参考人にお聞きいたします。 今回、親権に子の利益のためにということが書き込まれましたけど、一方で懲戒権が残ったということもありました。法制審などではなくせという声がもう圧倒的に多かったわけでありますけれども、これをなくすと必要なしつけもできなくなるというような誤解も生じるというようなことも言われて残ったわけですね。
(会議録 p.12)
中田裕康(参考人)
所属・肩書
東京大学大学院法学政治学研究科教授/参考人
発言要旨(要約)
親権と監護の関係について説明した。
原文抜粋
親に懲戒権があると思ってしつけているわけではないというのも、それもおっしゃるとおりでして、ただ、具体的な統計などについては私は持ち合わせておりませんけれども、ただやはり伝統的に、さっき申しましたとおり、親権という概念が親の権力であるというイメージがかつてはあったわけでして、そうすると懲戒権というのはごく自然に出てくることではないかと思います。それは、旧民法の前の草案の段階から懲戒権というのはもう高らかにうたわれていたわけです。
(会議録 p.12)
井上哲士
所属・肩書
日本共産党
発言要旨(要約)
親権について、裁判所の判断の観点から見解を述べた。
原文抜粋
先ほどの意見陳述の中で親権の一時停止について触れられたときに、再審判とのつなぎ方が大事だというふうに言われたんですけれども、このつなぎ方というのは具体的にはどういうことを言われているのか、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
(会議録 p.12)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
親権、同意について、手続負担・原則と例外の点を説明した。
原文抜粋
ただ、まず児童相談所、おびただしいケースを抱えていますので、なかなかこの手続が極めて膨大になるだろうという懸念はございます。 子どもの権利条約につきましては、やはりこの親権者の同意なしの分離というのは認められない、そういう場合、司法関与させなければいけないということで、本来は司法関与が必要だという考え方もできるとは思います。しかし、今申し上げたように、現実問題、今の児相の体制で業務量が膨大になるだろうということと、やはり緊急保護、しかも原則二か月という短期保護というところであれば、今はやはり司法関与をするというのは時期尚早ではないのかなと。
(会議録 p.13)
才村純(参考人)
所属・肩書
関西学院大学人間福祉学部教授/参考人
発言要旨(要約)
親権について説明・答弁した。
原文抜粋
その要因として三つ考えられるのではないか。一つは、御指摘のように体制の問題であります。これは先ほど申し上げてきたところです。二つ目は、やはり技術的な要因ですね。つまり、家族再統合の必要性は重々承知しつつも、じゃどうすれば家族再統合に至るのか。これはなかなか簡単なわけではございません。技術論として確立されていないというのが二つ目の要因です。三つ目が、いわゆる児童相談所は鬼の面と仏の面があって、非常に相矛盾する機能を担っている。したがって、最初の時点で職権で保護して親と熾烈な対立関係を引き起こせば、その後なかなか援助に持っていきにくいという問題があります。
(会議録 p.13)