離婚後の親権・監護・親子交流をめぐり、家庭裁判所で起きやすいことと、そこに至る制度・人物・団体などを、出典付きで辿ります。このページは一次資料を読む順番を示すものです。
1. 現象 — 家裁で起きやすいこと
この段では、公的統計・調査で確認できる現状の地図を先に置きます。数値の解釈・評価は行いません。
詳細表はすべて調査・統計(現状と推移)にあります。
親権の現状(届出上)
厚生労働省「人口動態統計」2024年(令和6年)では、親権を行う子がいる離婚95,436件のうち、「妻が全児の親権」86.5%、「夫が全児の親権」10.7%、「その他」2.8%です。これは届出上の親権者であり、家裁で争った結果の勝敗割合ではありません。
親子交流の現状(ひとり親世帯調査)
厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」(推計値)では、面会交流の「取り決めをしている」は母子世帯30.3%、父子世帯31.4%。「現在も面会交流を行っている」は母子30.2%、父子48.0%です。「取り決め」と「実施」は別指標です。
面会交流と「暴力・虐待」を理由に挙げた割合
同調査で、面会交流の取り決めをしていない最も大きな理由として「相手から身体的・精神的暴力や児童虐待があった」と回答したのは、母子世帯3.8%、父子世帯1.6%です(単一回答・推計値)。
また、実施していない最も大きな理由として「相手に暴力などの問題行動がある」と回答したのは、母子世帯3.3%、父子世帯0.0%です(単一回答・推計値)。
同じ調査では、取り決めをしていない理由の上位に「相手と関わり合いたくない」(母子26.4%)、実施していない理由の上位に「相手が面会交流を求めてこない」(母子28.5%)などが挙がっています。数値の並びは表で確認できます。
読み方:これらはひとり親世帯(回答者)の自己申告による理由です。裁判所によるDV・虐待の事実認定率でも、「虚偽DV」の割合でもありません。定義・限界は調査・統計ページの注意書きを参照してください。
→ 暴力・虐待を理由に挙げた割合 / 取り決めをしていない理由 / 実施していない理由
保護命令(参考・地裁手続)
配偶者暴力防止法に基づく保護命令は地方裁判所の手続であり、家裁の親権・面会交流事件とは別統計です。内閣府「男女共同参画白書 令和6年版」によると、令和5(2023)年に終局した配偶者暴力等に関する保護命令事件は1,455件、うち保護命令が発令された(認容)のは1,165件です。却下・取下げ等の内訳と、「却下=虚偽」ではないことの注意は調査・統計ページに記載しています。
→ 保護命令事件の処理状況 / テーマ:DV
2. 条文・通達・運用
現象に対応する法令・通達・運用説明への入口です。
3. 審議会・国会・省庁の経緯
法制審議会・国会・省庁資料の転換点を追います。
令和4年(懲戒権等)と令和6年(共同親権等)は別改正です。
4. 誰が/どの団体が公式に何を主張してきたか
| 1948年 | 昭和22年民法改正 施行 |
| 2011年4月 | 民法改正附帯決議(共同親権の検討) |
| 2011年5月 | H23民法改正 成立 |
| 2014年4月 | ハーグ条約発効・実施法施行 |
| 2019年7月 | 親子法制部会 第1回 |
| 2021年3月 | 家族法制部会 第1回 |
| 2022年11月 | 家族法制 中間試案 |
| 2024年1月 | 家族法制 要綱案 |
| 2024年3月 | R6民法改正案 閣議決定・国会提出 |
| 2024年5月 | R6民法改正 成立(共同親権導入) |
| 2026年4月 | R6民法改正 施行(共同親権開始) |
公式の自己規定・会議録上の自己表明・提出資料への入口です。運営による「推進派/慎重派」ラベルは付けません。
5. 残った争点/資料上は言えていないこと
未確定・資料不足・解釈が分かれる点、統計の定義・限界を明示します。
- ひとり親調査の「暴力・虐待」理由は自己申告であり、家裁での認定件数・虚偽主張の件数は、同調査からは分かりません。
- 保護命令の却下件数は「虚偽DV」の件数ではありません(証拠不足・要件未充足・一部取下げ等を含みます)。
- 家裁の親権・監護・面会交流事件でDV主張がどれだけ出され、どう認定されたかの全国集計は、現時点の公的統計では十分に揃っていません。