法制審議会 民法(親子法制)部会 第14回(令和3年2月9日)

会議日

目次

開催概要

  • 開催日:令和3年2月9日
  • 議題
  • 民法(親子法制)等の改正に関する中間試案の取りまとめ
  • 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)
  • 開催形式:法務省大会議室及びWeb会議方式による開催

第14回のポイント

第14回会議では、これまで13回にわたって積み重ねてきた議論を踏まえ、「民法(親子法制)等の改正に関する中間試案」の最終取りまとめが行われました。委員からは制度内容そのものよりも、中間試案や補足説明の表現、国民への分かりやすい説明方法について多くの意見が示されました。

また、嫡出推定制度に関する最新の調査結果や無戸籍者に関する実態調査も報告され、中間試案の制度設計が現実の運用や無戸籍問題の解消にどの程度寄与するかについても検討が行われました。

主な論点

  • 懲戒権規定における体罰の定義と補足説明
  • 子の人格尊重規定の表現
  • 嫡出推定制度に関する中間試案の最終整理
  • 女性の再婚禁止期間の見直し
  • 無戸籍問題に関する調査結果の評価
  • 嫡出否認制度全体の構成
  • 中間試案・補足説明の分かりやすい記載方法

主な委員の発言

発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。

この回の発言者(人物)

大石眞委員

所属・肩書

京都大学名誉教授

発言要旨

懲戒権規定に追加された注記について、「児童虐待に当たるものは体罰に該当することがある」との表現は意味が曖昧であり、補足説明との整合性も十分ではないと指摘しました。

また、注記全体が長文となっており、構造が分かりにくいため、項目を整理して国民にも理解しやすい説明へ修正することを提案しました。さらに、中間試案全体についても、主語が省略されて分かりにくい箇所や注記の配置など、読みやすさの観点から見直す必要があると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 補足説明の分かりやすさを重視
  • 表現の整理・構造化を提案
  • 国民向け資料としての読みやすさを重視

磯谷文明委員

所属・肩書

弁護士(東京弁護士会所属)

発言要旨

懲戒権規定の注記では、「児童虐待」という概念を用いることでかえって趣旨が分かりにくくなっていると指摘しました。

児童虐待防止法との関係を説明するのであれば、その位置付けをより明確に整理する必要があり、補足説明全体も簡潔で理解しやすい構成へ見直すことが望ましいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 補足説明の簡潔化を支持
  • 制度趣旨の明確化を重視
  • 表現の整理を提案

井上委員

所属・肩書

日本労働組合総連合会(連合)総合政策推進局長

発言要旨

懲戒権規定の見直しについて、新型コロナウイルス感染拡大下で児童虐待が潜在化している状況を踏まえ、法制審議会が体罰禁止や子どもの人格尊重について議論していること自体を社会へ積極的に発信すべきであると述べました。

また、女性の再婚禁止期間の見直しや無戸籍問題についても、中間試案を公表することで制度改革への理解が広がり、当事者の不安軽減にもつながることを期待するとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 体罰禁止を支持
  • 制度改革の積極的な情報発信を重視
  • 無戸籍問題への対応を重視

山根香織委員

所属・肩書

実践女子大学人間社会学部教授

発言要旨

補足説明で「身体的不快感」と「肉体的苦痛」を程度の違いとして説明している点について、両者を単純に程度差として整理することには違和感があると指摘しました。

子どもが感じる苦痛は個人差が大きく、概念を明確に区別することは難しいため、誤解を招かない表現へ見直すことが望ましいとの意見を述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 子どもの視点を重視
  • 補足説明の表現修正を提案
  • 誤解を招かない説明を重視

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

「身体的不快感」と「肉体的苦痛」とを明確に区別することは難しく、子どもの受け止め方には個人差があることから、補足説明では過度に区別する表現を避けた方がよいと述べました。

また、注記や補足説明は情報を追加することでかえって分かりにくくなる部分もあるため、簡潔で読みやすい表現へ整理することが重要であるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 子どもの受け止め方を重視
  • 補足説明の簡潔化を支持
  • 分かりやすい制度説明を重視

窪田充見委員

所属・肩書

神戸大学大学院法学研究科教授

発言要旨

嫡出推定制度の条文について、婚姻前に懐胎し、その後婚姻・離婚を経て出生した子を対象に含める規定は、空白を生じさせないために必要であると理解しつつも、これまで十分な議論が尽くされた論点ではないため、今後改めて検討する余地があると述べました。

また、中間試案全体の構成について、「嫡出否認制度に関するその他の見直し」という章立ては、子の否認権など本来嫡出否認制度の一部として理解される論点を切り離している印象を与えるため、見出しや構成を再検討した方が分かりやすいと提案しました。さらに、前夫の否認権に関する規定についても、一般の読者にも理解しやすい表現へ修正することを求めました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度全体の構成整理を重視
  • 表現の分かりやすさを重視
  • 今後の追加検討を提案

大森啓子幹事

所属・肩書

弁護士

発言要旨

無戸籍問題への対応として認知制度を活用する可能性について、強制認知によって父子関係が確定する場合まで「父子関係が不安定になる」と説明することには違和感があると指摘しました。

推定が及ぶ子について認知を認めることによる法的安定性への影響と、裁判によって父子関係が確定する場合とは区別して整理する必要があり、補足説明の表現を見直すことを提案しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 認知制度の活用を重視
  • 補足説明の表現修正を提案
  • 法的安定性との整理を重視

中田裕康委員

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

中間試案の注記の配置について、前夫の相続人に関する説明は嫡出推定ではなく否認後に問題となる事項であるため、配置を見直した方が読みやすいと指摘しました。

制度内容そのものには異論はないものの、国民が理解しやすい資料となるよう構成面にも配慮すべきとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 資料構成の改善を提案
  • 読みやすさを重視

木村敦子幹事

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科准教授

発言要旨

無戸籍者に関する調査結果について、中間試案の見直しによって直接救済される範囲と、再婚行動の変化などを前提とした推計部分とを区別して説明した方が分かりやすいと指摘しました。

補足説明では調査結果と制度改正との関係性が十分伝わらない部分があるため、表現を整理することが望ましいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 調査結果の説明整理を提案
  • 制度効果の分かりやすい説明を重視

sourcesから追記した発言

運営の評価ラベルは付けません。

大村敦志部会長

所属・肩書

学習院大学法科大学院教授

発言要旨

ありがとうございます。乙案の理解について,今,複数の考え方があるかもしれないという御指摘を頂いておりますけれども,窪田委員がおっしゃったように,血縁関係の問題を正面には出さないということで乙案が立てられたということは,確かにそうなのだろうと思いますが,しかし,血縁関係もこの要件の中で問題になるだろうという御理解もあったのではないかと思います。

(PDF p.21)

第14回の特徴

第14回は、中間試案を正式に取りまとめる最終会議として開催され、制度内容そのものよりも、中間試案や補足説明を国民にどのように伝えるかという観点から活発な議論が行われました。委員からは、表現の正確性だけでなく、読みやすさや誤解を招かない説明を重視すべきとの意見が相次ぎました。

また、嫡出推定制度や無戸籍問題に関する最新の調査結果も公表され、中間試案が現実の課題解決にどの程度寄与するかについて実証的な議論が行われたことも特徴です。この会議で取りまとめられた中間試案は、その後のパブリックコメント及び最終的な法改正作業の基礎となりました。

一次資料

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