法制審議会 民法(親子法制)部会 第13回(令和2年12月22日)

会議日

目次

開催概要

  • 開催日:令和2年12月22日
  • 議題
  • 中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台(その2)
  • 嫡出推定制度の見直しに伴う生殖補助医療により生まれた子の父子関係等の規律の検討
  • 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)
  • 開催形式:法務省大会議室及びWeb参加併用

第13回のポイント

第13回会議では、中間試案の取りまとめに向けた最終調整が行われるとともに、新たに成立した「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係の特例に関する法律」を踏まえ、嫡出推定制度・嫡出否認制度との関係が集中的に議論されました。

特に、生殖補助医療に同意した夫の嫡出否認権を制限する新法第10条を前提として、今後否認権者を拡大する場合に、母や子についても同様の制限を設ける必要があるのか、また生殖補助医療全体の制度設計は本部会でどこまで扱うべきかが重要な論点となりました。

主な論点

  • 生殖補助医療法成立後の親子法制の整理
  • 生殖補助医療法第10条と嫡出否認制度の関係
  • 母・子に対する否認権制限の要否
  • 生殖補助医療関連親子法制の今後の検討体制
  • 懲戒権規定の補足説明の修正
  • 中間試案における説明内容の整理
  • 生殖補助医療法と民法との関係整理

主な委員の発言

発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。

この回の発言者(人物)

久保野恵美子幹事

所属・肩書

東北大学大学院法学研究科教授

発言要旨

懲戒権規定に関する補足説明について、里親養育指針だけでなく、児童福祉法や関係省令にも人格尊重や懲戒権濫用禁止に関する規定が設けられていることから、それらも参考資料として記載すべきであると提案しました。

また、親による子の人格尊重という理念は既に児童福祉法体系にも位置付けられており、中間試案でもその点を踏まえた説明が望ましいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 人格尊重規定の充実を支持
  • 児童福祉法との整合性を重視
  • 補足説明の拡充を提案

大石眞委員

所属・肩書

京都大学名誉教授

発言要旨

懲戒権規定の説明では、丙案だけが親に広い裁量を認めるような表現となっている点に違和感があると指摘しました。

また、「禁止される行為の範囲を明らかにする」という説明は、親権の内容ではなく禁止行為を定める趣旨であることから、表現を見直した方が制度趣旨が正確に伝わると述べました。さらに、比較法の紹介についても、各国法の条文引用方法を統一した方が分かりやすいとの意見を示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度説明の正確性を重視
  • 表現の整理を提案
  • 比較法資料の記載方法を改善すべきと指摘

中田裕康委員

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

懲戒権規定の乙案について、「懲戒」に代わる語として「指示及び指導」と記載すると、両者が同一概念であるとの誤解を招くおそれがあると指摘しました。

単なる言い換えではなく、新たな概念として提案する趣旨が伝わる表現へ修正することが適切であると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 用語の明確化を重視
  • 誤解を避ける表現を提案

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

生殖補助医療法成立後の本部会の役割について、嫡出推定・嫡出否認制度の見直しに直接関係する範囲を優先して検討すべきであると述べました。

一方で、代理懐胎や精子提供者の法的地位など、生殖補助医療全体に関わる問題については、今後予定されている行為規制の検討を踏まえた上で議論することが適切であり、本部会だけで結論を出すことは難しいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 本部会の検討範囲を限定的に整理
  • 行為規制との連携を重視
  • 段階的な制度整備を支持

水野紀子委員

所属・肩書

白鷗大学大学院法務研究科教授

発言要旨

生殖補助医療に関する親子法制は、本来であれば行為規制と一体で検討されるべきものであり、現時点では規制法が十分整備されていないことによる課題が残されていると指摘しました。

また、DNA鑑定の普及により、生殖補助医療で生まれた子について父子関係が争われる可能性が高まることを懸念し、夫婦関係の変化などを契機として子の法的地位が不安定になる事態への制度的対応も将来的な課題であると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 行為規制との一体的検討を重視
  • 子の法的地位の安定を重視
  • 将来的な制度整備を求める

木村敦子幹事

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科准教授

発言要旨

生殖補助医療法第10条の趣旨について、子の地位の安定を理由として未成年の子の否認権まで制限することが当然導かれるのかについて疑問を示しました。

夫の否認権を制限する趣旨と、子自身の否認権を制限する趣旨は必ずしも同一ではなく、その理論的根拠をより明確に説明する必要があると指摘しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度趣旨の論理整理を重視
  • 子の否認権制限には慎重
  • 理論的根拠の明確化を求める

磯谷文明委員

所属・肩書

弁護士(東京弁護士会所属)

発言要旨

生殖補助医療法第10条では、同意した夫について嫡出否認権が制限されているが、同様に生殖補助医療を受けた母についても、後から父子関係を争うことは信義則や権利濫用の観点から制限されるのではないかと指摘しました。

そのため、将来母にも否認権を認める制度とするのであれば、夫と同様の明文規定を設ける方向が自然ではないかとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 母の否認権制限を支持
  • 信義則との整合性を重視
  • 明文化を検討すべきと提案

窪田充見委員

所属・肩書

神戸大学大学院法学研究科教授

発言要旨

生殖補助医療法第10条が既に存在する以上、本部会ではその制度を前提として検討を進めることは理解できると述べました。

もっとも、今後否認権者を拡大するのであれば、単に既存の否認権制限を横展開するだけではなく、その制度趣旨そのものを改めて整理しながら検討する必要があるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度全体との整合性を重視
  • 否認権制限の趣旨整理を重視

sourcesから追記した発言

運営の評価ラベルは付けません。

髙橋良委員

所属・肩書

弁護士(神奈川県弁護士会所属)

発言要旨

関連じゃないんですけど,いいですか。先ほどからの議論を聞いていて私もそうだなと思ってずっと聞いていたんですけれども,先ほど大森幹事から事実婚のお話がありましたけれども,今後,行為規制について2年間,国会の方でまず検討するということでその形が見えてくると更に詳細な形が見えてきて,また親子法で対応するところが出てくるという,そういうことだと思うんですけれども。

(PDF p.19)

大森啓子幹事

所属・肩書

弁護士(第二東京弁護士会所属)

発言要旨

ドイツ法の先生にお聞きをしたい点があり,発言させていただきます。12ページの再婚夫の嫡出性が否認された場合に,前夫の推定が復活するかどうかという点について,㋐の考え方,すなわち再婚したとしても前婚の推定も引き続き存在しているけれども,優先するという考え方を取るのか,若しくは㋑で排除されているという考え方を取るのかということで,㋐の考え方からすると推定が復活するというのは自然な考え方になるが,他方で,㋑の考え方を取ったとしても政策的なことを考えて復活すると考えた方がいいのではないかという説明がなされております。

(PDF p.23)

垣内秀介幹事

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

どうもありがとうございます。第4の2の子及び母の否認権のところの甲案の③のところで,子の母,子の親権を行う母とあるところについて,子の母というのを本案にするというお話に関してですけれども,私はその点は特に異論があるということはございません。

(PDF p.28)

第13回の特徴

第13回では、新たに成立した生殖補助医療法を受けて、親子法制との接続をどのように図るかが初めて本格的に議論されました。委員からは、生殖補助医療法を前提に一定の整理を進める必要性が共有される一方で、本部会で扱う範囲は嫡出推定・嫡出否認制度に直接関係する事項に限定し、それ以外の課題については今後の行為規制や別途の検討に委ねるべきとの意見が多く示されました。

また、生殖補助医療によって出生した子の法的地位を安定させることと、子自身の人格的利益や否認権との調整をどのように図るかについて、理論面・制度面の双方から活発な議論が行われたことが、第13回会議の大きな特徴となりました。

一次資料

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