法制審議会 民法(親子法制)部会 第22回(令和3年11月30日)

会議日

目次

開催概要

  • 開催日:令和3年11月30日
  • 議題
  • 民法(親子法制)等の改正に関する要綱案のたたき台
  • 残された論点の補充的検討
  • 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)
  • 開催形式:法務省大会議室及びWeb会議方式による開催

第22回のポイント

第22回会議では、要綱案の最終取りまとめに向けて、前回会議で示された意見を踏まえた修正案について集中的な審議が行われました。前半では、懲戒権に関する規定の見直しと、嫡出否認制度の修正案が主な議題となり、特に前夫の否認権の要件や条文表現について詳細な議論が交わされました。

また、親権者が子の人格を尊重し、子の年齢や発達の程度に配慮すべきことを明文化する規定については、おおむね異論なく了承され、改正案の方向性が固められました。

主な論点

  • 懲戒権規定の最終整理
  • 子の人格尊重義務・年齢及び発達への配慮義務
  • 前夫の嫡出否認権の要件
  • 「子の利益を害することが明らかでないとき」の解釈
  • 前夫の定義と複数回の婚姻・離婚事例への対応
  • 生殖補助医療に関する特例の整理

主な委員の発言

発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。

この回の発言者(人物)

磯谷文明委員

所属・肩書

弁護士(東京弁護士会所属)

発言要旨

前回会議の議論を踏まえ、事務局が「子の年齢及び発達の程度への配慮義務」を改めて条文化したことを高く評価しました。

児童虐待が深刻化する中、民法において親が子を監護・教育する際の基本姿勢を明確に示すことには大きな意義があり、今回の修正案に異論はないと述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 子の発達への配慮義務を支持
  • 親の基本姿勢の明文化を評価

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

子の年齢及び発達への配慮義務を民法へ位置付けたことは、家事事件手続法の理念を実体法へ反映する重要な改正であると評価しました。

また、子の人格尊重や体罰禁止を親権規定の総則部分へ配置したことにより、単なる懲戒権削除ではなく、「子の最善の利益」を重視する親子法制への転換が明確になったとの見解を示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 子の最善の利益を重視
  • 改正の理念的意義を評価

山本恒雄委員

所属・肩書

社会福祉法人恩賜財団母子愛育会愛育研究所客員研究員

発言要旨

事務局が前回会議で示された委員の意見を適切に反映したことを評価し、今回の懲戒権規定の整理に賛成しました。

今回の規定は、今後の親権行使の在り方に重要な意味を持つものであり、子どもの人格尊重という基本理念を示す条文として高く評価できると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 子の人格尊重を重視
  • 条文の理念的意義を評価

垣内秀介幹事

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

前夫の否認権について、生物学上の父子関係を明文要件とせず、「子の利益を害することが明らかでないとき」という要件へ改めた今回の修正は、従来の嫡出推定制度との整合性を考慮したものとして理解できると述べました。

また、前夫が複数存在する場合の訴訟についても、複数の被告を併合して提起することを前提とした整理は制度の明確化につながるとして、おおむね賛成する考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 制度の整合性を重視
  • 訴訟構造の明確化を支持

窪田充見委員

所属・肩書

神戸大学大学院法学研究科教授

発言要旨

前夫による懐胎を明文要件としない方向性については理解を示しつつ、「子の利益を害することが明らかでないとき」という要件だけでは判断基準が分かりにくいとの懸念を示しました。

特に、血縁関係が不明な場合やDNA鑑定に応じない場合の取扱いなどについては、条文だけでは十分に読み取れないため、答申や立法担当者解説などで判断要素を詳しく説明すべきであると提案しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案の方向性は理解
  • 判断基準の明確化を重視
  • 補足説明の充実を提案

木村匡彦幹事

所属・肩書

最高裁判所事務総局家庭局第二課長

発言要旨

前夫の否認権について、「子の利益を害することが明らかでないとき」という要件は裁判規範としてなお抽象的であり、解釈や運用が明確になるよう補足説明や立法担当者解説で具体的な判断基準を示す必要があると述べました。

特に、前夫に養育意思があることを基礎付ける事情、血縁関係や嫌がらせ目的の有無、DNA鑑定に応じない場合の評価など、実務で問題となる論点について整理しておくことが重要であると指摘しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案の方向性は理解
  • 裁判規範の明確化を重視
  • 補足説明の充実を要望

大森啓子幹事

所属・肩書

弁護士(第二東京弁護士会所属)

発言要旨

前夫の否認権については方向性に賛成しつつも、「子の利益を害することが明らかでないとき」という表現では、血縁関係が不明な場合に要件を満たすとも読める可能性があると指摘しました。

そのため、「子の利益を害さないことが明らかなとき」といった表現へ改めた方が、趣旨がより明確になるのではないかと提案しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 条文表現の見直しを提案
  • 判断基準の明確化を重視

髙橋良委員

所属・肩書

弁護士(神奈川県弁護士会所属)

発言要旨

第三者提供精子による生殖補助医療については、自然懐胎の場合とは異なり、親子関係の基礎となるのは血縁ではなく夫の同意であることを指摘しました。

もっとも、同意の有効性や立証方法には様々な争点が生じ得るため、将来、子に法的な父が存在しなくなる事態を防ぐ観点からも、補足説明などで制度趣旨を十分に整理しておくことが重要であると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 改正案を支持
  • 生殖補助医療制度との整合性を重視
  • 補足説明の充実を提案

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

前夫の否認権について、生物学上の父子関係は制度の重要な基礎であり、明文要件から削除したとしても、その考え方まで否定されるものではないことが分かるよう補足説明を工夫すべきであると述べました。

また、DNA鑑定や遺伝情報の利用については、海外では包括的な規制が存在する例もあり、日本でも将来的には遺伝情報保護の観点を含めた検討が必要になるとの見解を示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 修正案を支持
  • 生物学上の父子関係の位置付けを重視
  • 将来的な制度整備を提案

大村敦志部会長

所属・肩書

学習院大学法科大学院教授

発言要旨

懲戒権規定については、委員・幹事からおおむね賛同が得られたとして取りまとめを行いました。

また、嫡出否認制度については、修正案に大きな反対意見は示されなかったものの、条文表現や補足説明の在り方について多数の意見が寄せられたことを踏まえ、事務局に対して文言や説明の更なる検討を求めました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 全体の取りまとめ
  • 条文の明確化を重視
  • 追加検討を事務局へ要請

sourcesから追記した発言

運営の評価ラベルは付けません。

水野紀子委員

所属・肩書

白鷗大学教授

発言要旨

ありがとうございます。19ページの、母の固有の無効主張権のところで、前回も申し上げましたけれども、母が知らないうちに認知をされているという、問題についてです。確かに制度上の担保がないのだけれども、認知によって形成された父子関係について7年間が経過したという場合には、いいのではないかという御判断のようにうかがいました。

(PDF p.23)

久保野恵美子幹事

所属・肩書

東北大学大学院法学研究科教授

発言要旨

途中になってしまいまして申し訳ありません。まず、方向性としまして、成年に達した子どもについて、限定的なものであっても、規定を置いていくということは前向きに考える方がよろしいと思っています。その上で、今、おまとめのところでも、同居ということを保つのか、扶養にするのかといったような議論が一方でありつつ、他方で養育という言葉も出ている中で、その問題は社会的な親子関係という概念が固まっていない困難さを背景に、難しいということではありますけれども、少し懸念を抱く点があります。

(PDF p.42)

第22回の特徴

第22回後編では、要綱案そのものへの反対というよりも、最終的な条文表現や補足説明の精度を高めるための実務的・技術的な議論が中心となりました。特に、前夫の否認権については制度の方向性には概ね賛同が得られた一方で、「子の利益を害することが明らかでないとき」という要件の解釈や運用について、多角的な意見が交わされました。

また、生殖補助医療との関係やDNA鑑定・遺伝情報の取扱いなど、将来の制度運用にも関わる論点についても議論が及び、改正法の趣旨を適切に伝えるため、立法担当者による補足説明や解説の重要性が改めて共有されました。

一次資料

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