会議日
開催概要
- 開催日:令和4年1月11日
- 議題
- 要綱案の取りまとめに向けた検討
- 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)
- 開催形式:法務省大会議室及びWeb会議方式による開催
第24回のポイント
第24回会議では、答申直前の最終調整として、要綱案原案と補足説明の内容が集中的に審議されました。前半では、懲戒権規定の見直しと嫡出推定制度の見直しを中心に、条文そのものではなく、制度趣旨や立法経緯をどのように補足説明へ反映するかが主な論点となりました。
また、嫡出推定制度については、婚姻前懐胎・婚姻後出生の子に対する推定の及ばない子の判例法理との関係について、補足説明の記載ぶりを巡って複数の委員・幹事から修正意見が示されました。
主な論点
- 懲戒権規定の補足説明
- 体罰禁止規定の趣旨
- 子の人格尊重義務の位置付け
- 嫡出推定制度の補足説明
- 婚姻前懐胎・婚姻後出生の子と判例法理との関係
- 女性の再婚禁止期間廃止との関係
- 嫡出否認制度の最終調整
主な委員・幹事の発言
発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。
この回の発言者(人物)
磯谷文明委員
所属・肩書
弁護士(東京弁護士会所属)
発言要旨
懲戒権規定の改正自体には異論はないとした上で、補足説明では体罰禁止の背景事情をより丁寧に記載すべきであると述べました。
児童虐待防止法の改正や厚生労働省のガイドライン、さらに国際的な体罰禁止の流れを踏まえた改正であることを明確に示し、従来の社会通念に依拠した解釈がなされないよう配慮すべきであると指摘しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 要綱案を支持
- 補足説明の充実を要望
- 体罰禁止の立法趣旨を重視
大石眞委員
所属・肩書
京都大学名誉教授
発言要旨
懲戒権規定の補足説明について、児童虐待の要因を二つだけ掲げる記載では限定的に受け取られるおそれがあると指摘しました。
また、「親が自らの価値観を子に当てはめること」が問題であるとの表現では広すぎるため、「不当に押し付けること」が問題であることを明確に示すべきであると提案しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 補足説明の修正を提案
- 表現の明確化を重視
棚村政行委員
所属・肩書
早稲田大学教授
発言要旨
嫡出推定制度の補足説明について、婚姻前懐胎・婚姻後出生の子に判例法理が「基本的には適用されない」とする記載は、解釈を過度に限定する印象を与えると指摘しました。
今回の改正は婚姻前懐胎・婚姻後出生の子にも嫡出推定を及ぼす趣旨であることは理解できるものの、判例法理の今後の運用可能性まで断定的に示すことは避け、裁判実務へ委ねる余地を残した表現へ修正すべきであると述べました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 要綱案を支持
- 補足説明の修正を提案
- 判例法理との調和を重視
窪田充見委員
所属・肩書
神戸大学大学院法学研究科教授
発言要旨
棚村委員と同様に、婚姻前懐胎・婚姻後出生の子について判例法理が適用されないと読める補足説明は書き過ぎであり、削除も含めて見直すべきであると述べました。
また、「個別事情に応じて判断される」とする説明も、一般的な法解釈の問題であり個別事情の問題ではないため、記載方法を工夫すべきであると指摘しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 補足説明の修正を提案
- 解釈論の整理を重視
大森啓子幹事
所属・肩書
弁護士(第二東京弁護士会所属)
発言要旨
婚姻前懐胎・婚姻後出生の子について判例法理が適用されないとする補足説明は削除すべきとの立場を示しました。
婚姻前から事実婚状態にある事例など、多様な事情が存在するため、一律に判例法理を排除するような説明は妥当ではなく、婚姻中懐胎の場合と同様に今後の解釈へ委ねる余地を残すべきであると述べました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 補足説明の削除を提案
- 柔軟な解釈を重視
木村匡彦幹事
所属・肩書
最高裁判所事務総局家庭局第二課長
発言要旨
婚姻前懐胎・婚姻後出生の子に関する補足説明について、現時点で判例法理の将来像を断定することは適切ではないと述べました。
改正後の裁判実務の蓄積によって判例法理の位置付けや役割も変化し得るため、現段階では今後の解釈に委ねる趣旨が伝わる記載とすべきであるとの考えを示しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 補足説明の修正を支持
- 将来の解釈可能性を重視
中田裕康委員
所属・肩書
早稲田大学大学院法務研究科教授
発言要旨
子による嫡出承認制度を設けないとの修正案について、子が長期間にわたり父子関係を選択できる状態に置かれること自体が精神的負担となる可能性があると指摘しました。
一方で、承認制度を設けないとしても、子が承認した事実や父がその意思を信頼していた事情は実体要件の判断において考慮され得るため、今後の実務運用を見ながら更なる検討を進めることが適当であるとの考えを示しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 修正案を容認
- 子の自己決定と負担の均衡を重視
- 将来の制度検討を提案
棚村政行委員
所属・肩書
早稲田大学教授
発言要旨
子による嫡出承認制度については、今回は規定を設けないことに異論はないとしつつ、否認権を認める以上、その反対方向の制度として承認制度の意義は今後も検討すべきであると述べました。
また、子どもの自己決定を支えるためには、子どもの代理人制度やカウンセリングなど支援体制の整備も重要であり、補足説明においても今回見送った理由や今後の検討課題を明確に示すべきであると提案しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 修正案を支持
- 承認制度の継続検討を提案
- 子の自己決定支援を重視
大石眞委員
所属・肩書
京都大学名誉教授
発言要旨
子による否認権の特則について、社会的親子関係を保護する趣旨と「3年間の同居」要件との関係が補足説明では分かりにくいと指摘しました。
社会的親子関係が存在する場合には否認を認めないという制度趣旨がより伝わるよう、説明の構成や表現を見直すべきであると提案しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 補足説明の修正を提案
- 制度趣旨の明確化を重視
手嶋あさみ委員
所属・肩書
最高裁判所事務総局家庭局長
発言要旨
子による否認権の特則について、3年間の同居という客観的基準は、社会的親子関係が実質的に存在するかどうかを判断するための指標であるとの理解を確認しました。
また、ただし書の「父の利益」は、父が養育を積み重ねることで形成された社会的親子関係を保護する趣旨であることを、今後の立法趣旨説明において丁寧に示すべきであると述べました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 修正案を支持
- 制度趣旨の丁寧な説明を要望
大森啓子幹事
所属・肩書
弁護士(第二東京弁護士会所属)
発言要旨
子が否認権を行使した後に死亡した場合については、その意思表示が既になされている以上、直系卑属による手続承継を認める考え方も成り立つのではないかと問題提起しました。
相続上の利益だけでなく、祖父との法的親子関係を否定したいという人格的利益も考慮すべきであり、承継を一律に否定することには再検討の余地があるとの見解を示しました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 承継規定の再検討を提案
- 人格的利益を重視
磯谷文明委員
所属・肩書
弁護士(東京弁護士会所属)
発言要旨
子が死亡した後の否認権承継については、様々な考え方があり得るとしつつ、今回の原案を支持しました。
否認権の延長は子自身の人生や人格に関わる権利であり、その当事者である子が死亡した時点で権利関係を終了させるという整理にも十分な合理性があると述べました。
編纂メモ(運営の評価ラベルではない)
- 原案を支持
- 否認権の一身専属性を重視
sourcesから追記した発言
運営の評価ラベルは付けません。
大村敦志部会長
所属・肩書
学習院大学法科大学院教授
発言要旨
ありがとうございました。本日は、要綱案の原案を部会資料24-1という形で準備していただいておりますので、これに基づいて御議論を頂きたいと考えております。具体的には、24-2の方のページ数で申し上げますと、まず、懲戒権に関する規定の見直し、24-2の第1の1ページ以下でございますが、これについて御議論を頂きたいと思います。
(PDF p.2)
髙橋良委員
所属・肩書
弁護士(神奈川県弁護士会所属)
発言要旨
ありがとうございます。第4のところ、今、窪田先生の御意見で、次回改めてまとめていただけるのかなと思ったのですが、部会資料17の方を読んで少し思ったことをこの機会に述べさせていただければと思います。部会資料17の後、何回か審議があって、新しい資料などが出て、いろいろな議論があったと思うのですけれども、生殖補助医療については国会で生殖補助医療法が成立して2年で行為規制を作成することになっていて、行為規制がまだ整備されていないと、そういうところで議論せざるを得なかったということだと思います。
(PDF p.18)
水野紀子委員
所属・肩書
白鷗大学教授
発言要旨
申し訳ございません、質問だけでございます。国籍詐取の懸念から、認知無効の様々な制限が望ましくないのではないかという議論が当初ありました。結局、国籍法の方でその問題は手当てをするということで、民法の方は嫡出否認と同じように制限を議論していただきました。
(PDF p.24)
第24回の特徴
第24回では、制度そのものの方向性よりも、要綱案や補足説明が制度趣旨を正確に伝えているかという観点から、表現や説明方法の見直しが中心的なテーマとなりました。特に、子による否認権や社会的親子関係の考え方について、実務運用や国民への理解促進を意識した丁寧な説明を求める意見が数多く示されました。
また、子による嫡出承認制度や否認権承継制度など、今回の改正では見送られた事項についても、将来的な検討課題として位置付けるべきとの認識が共有され、最終答申へ向けた制度整理が進められました。