法制審議会 民法(親子法制)部会 第12回(令和2年11月24日)

会議日

目次

開催概要

  • 開催日:令和2年11月24日
  • 議題
  • 嫡出推定制度の見直しに関する各論点の補充的検討(続き)
  • 中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台
  • 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)
  • 開催形式:法務省大会議室及びWeb会議方式による開催

第12回のポイント

第12回会議では、中間試案の取りまとめに向けた最終調整として、嫡出推定制度、懲戒権に関する規定、女性の再婚禁止期間など、これまで議論してきた各論点について全体的な整理が行われました。制度内容そのものだけでなく、中間試案における説明や国民への分かりやすい提示方法についても多くの意見が示されました。

また、嫡出推定制度については新たな統計データが示され、制度改正による影響や無戸籍問題への対応について実証的な観点からも検討が行われました。懲戒権については、体罰禁止規定や親権者の権利・義務の規定の在り方について、中間試案へ盛り込む内容が具体化されました。

主な論点

  • 否認権者が死亡した場合の規律
  • 懲戒権規定の見直しと中間試案の整理
  • 子の人格尊重規定の位置付け
  • 嫡出推定制度の見直し案
  • 女性の再婚禁止期間の廃止
  • 中間試案の補足説明の在り方
  • 無戸籍問題を踏まえた制度設計

主な委員の発言

発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。

この回の発言者(人物)

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

否認権者が死亡した場合の取扱いについて、一身専属権として考える立場と、相続や扶養など一定の財産的利益を考慮して承継を認める立場との価値判断の対立であると整理しました。

また、諸外国では本人死亡後の権利承継を認めない制度もあることを紹介し、日本法との比較や人事訴訟法との整合性について更なる説明が必要であると述べました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 一身専属権と財産的利益の調整を重視
  • 比較法的検討を重視
  • 制度趣旨の整理を求める

大森啓子幹事

所属・肩書

弁護士(第二東京弁護士会所属)

発言要旨

否認権者死亡後の規律については、一身専属権としての性格と相続上の利益との調整という観点から検討すべきと述べました。

さらに、否認権者が生前に既に訴えを提起していた場合と、何ら権利行使をしないまま死亡した場合では利益状況が異なることから、両者を区別して制度設計を検討する余地があるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 利益衡量を重視
  • 訴訟提起の有無による区別を提案
  • 制度の柔軟な設計を支持

中田裕康委員

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

否認権承継制度を見直すのであれば、現行制度にどのような支障が生じているのかという立法事実を明らかにする必要があると指摘しました。

また、夫の否認権行使期間を死亡後も維持する案については、その理由や起算点の考え方をより明確に説明すべきであると述べました。さらに、嫡出推定制度では「懐胎」を規定に残す技術的意義や、相続制度との関係についても検討が必要であるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 立法事実を重視
  • 制度趣旨の明確化を求める
  • 相続制度との整合性を重視

磯谷文明委員

所属・肩書

弁護士(東京弁護士会所属)

発言要旨

懲戒権規定の見直しについて、中間試案としては現在の整理で差し支えないとしつつ、補足説明では親権の「権利性」に関する過去の議論をより正確に整理すべきと述べました。

また、嫡出推定制度については、海外に見られる「母が父を届け出る制度」なども紹介しながら、国民が制度を理解しやすいよう補足説明を充実させることが望ましいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 中間試案の整理を支持
  • 補足説明の充実を重視
  • 比較法の紹介を提案

大石眞委員

所属・肩書

京都大学名誉教授

発言要旨

嫡出推定制度の見直しに関する説明について、養育意思を根拠とする補足説明の内容がやや分かりにくく、婚姻時に妻の妊娠を知らなかった場合でも養育意思があると考える理由について、更に丁寧な説明が必要であると指摘しました。

また、女性の再婚禁止期間に関する説明についても、民法第773条との関係や重婚禁止規定との整理が国民に理解しやすい表現となるよう見直しを求めました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 補足説明の分かりやすさを重視
  • 制度趣旨の明確化を求める
  • 条文説明の整理を提案

井上委員

所属・肩書

日本労働組合総連合会(連合)総合政策推進局長

発言要旨

懲戒権規定については、子どもの人格を尊重する規定を前提として、体罰を禁止する内容を明確に示す丙案を支持しました。

また、「指示及び助言」という文言だけでは体罰禁止の趣旨が十分伝わらない可能性があるため、体罰禁止を明文で示すべきと述べました。

さらに、女性の再婚禁止期間については廃止を評価するとともに、国際的にも女性差別撤廃委員会から繰り返し見直しを求められてきた経緯を補足説明へ盛り込むことが望ましいとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 体罰禁止の明文化を支持
  • 子どもの人格尊重を重視
  • 女性の再婚禁止期間廃止を支持

窪田充見委員

所属・肩書

神戸大学大学院法学研究科教授

発言要旨

嫡出推定制度の中間試案について、内容自体には異論はないものの、条文案の表現が分かりにくいと指摘しました。

特に「婚姻中に懐胎した子でなくても」という表現については、婚姻前に懐胎した子であっても婚姻中に出生した子であれば推定対象となることがより明確に伝わる表現へ修正することを提案しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 表現の明確化を重視
  • 国民に理解しやすい制度設計を支持

山根香織委員

所属・肩書

実践女子大学人間社会学部教授

発言要旨

無戸籍問題の解消という今回の法改正の出発点を踏まえると、中間試案の説明は国民に制度趣旨が十分伝わる内容である必要があると述べました。

特に、嫡出推定制度に関する補足説明については、制度改正の目的や背景を丁寧に説明し、パブリックコメントでも理解しやすい資料となるよう工夫すべきとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 無戸籍問題への対応を重視
  • 補足説明の充実を支持
  • 国民への分かりやすい情報提供を重視

sourcesから追記した発言

運営の評価ラベルは付けません。

垣内秀介幹事

所属・肩書

東京大学大学院法学政治学研究科教授

発言要旨

どうもありがとうございます。今回の資料の8ページから9ページにかけてでしょうか,先ほども御説明があったか分かりませんが,前回からの変更点の中で,親権を行う母等が子の否認権を行使する際の法律構成として,代理ということなのか,あるいは訴訟担当ということなのかということについては他の局面でも解釈論上の解釈に委ねられているということで,今回もその点について訴訟担当構成を排除するまでの理由はないのではないかという御説明をされていまして,その趣旨については私は了解したんですけれども,その関係で,資料の7ページのゴシックのところの甲案の③の部分というのは,先ほどの変更…

(PDF p.22)

水野紀子委員

所属・肩書

白鷗大学教授

発言要旨

同じページで少し引っ掛かるところがございます。説明ぶりだけなのですけれども,15ページの下のところです。826条によれば,親権者と子の利益が相反する場合にはというここの一連の,それから昭和35年の判決などについての説明ぶりです。この826条の利益相反行為は元々こういう趣旨の条文ではなくて,親権者であれば自己契約,双方代理に当たるような契約であったとしても,つまり総則の代理法の制約で自己契約,双方代理に当たってできないことであったとしても,親権者がやる場合には行わなくてはならないという立法判断で,むしろ親権者が行えるように特別代理人を選ぶという趣旨で,起草者が設計した条文です。

(PDF p.30)

第12回の特徴

第12回では、中間試案の公表を目前に控え、これまで積み重ねてきた議論を制度として整理するだけでなく、国民にどのように説明するかという「伝え方」についても活発な議論が行われました。委員からは、制度趣旨を誤解なく伝えるため、補足説明をより充実させるべきとの意見が相次ぎました。

また、無戸籍問題の解消、子どもの人格尊重、女性の再婚禁止期間の廃止など、本部会発足以来の主要課題について中間試案の方向性が具体化され、制度設計と社会へのメッセージ性の双方を重視した議論が行われたことが第12回の大きな特徴となりました。

一次資料

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