法制審議会 民法(親子法制)部会 第7回(令和2年2月25日)

会議日

目次

開催概要

  • 開催日:令和2年2月25日
  • 議題
  • 参考人等ヒアリング
  • 嫡出推定制度の見直しに伴う生殖補助医療により生まれた子の父子関係等の規律の可否についての検討(フリーディスカッション)
  • 懲戒権に関する規定の見直しについての検討(二読・続き)
  • 部会長:大村敦志(学習院大学法科大学院教授)

第7回のポイント

第7回会議では、嫡出推定制度の見直しに関連する新たな論点として、生殖補助医療により生まれた子の父子関係をどのように規律すべきかについて、フリーディスカッションが行われました。

会議では、厚生労働省から生殖補助医療をめぐる制度やこれまでの検討経緯について説明が行われたほか、徳島大学大学院医歯薬学研究部長の苛原稔参考人から、生殖補助医療の現状や技術の進歩、第三者から提供された精子・卵子を用いる生殖補助医療の課題について詳細な説明がありました。

委員からは、夫の同意による生殖補助医療で生まれた子の法的地位や、精子提供者の認知の可否、出自を知る権利との関係、将来的な法整備の必要性などについて幅広い意見が交わされました。また、親子法制だけでなく、生殖補助医療全体の制度設計や行為規制との整合性についても検討すべきとの認識が共有されました。

主な論点

  • 生殖補助医療により生まれた子の父子関係
  • 夫の同意と嫡出推定との関係
  • 精子提供者の法的地位
  • 精子提供者の認知の可否
  • 出自を知る権利
  • 生殖補助医療に関する行為規制との関係
  • 生殖補助医療関連親子法制を検討する範囲

主な委員・参考人の発言

発言見出しは人物ページへリンクしています。要旨は短い整理です。全文は一次資料(議事録PDF)を参照してください。

この回の発言者(人物)

苛原稔参考人

所属・肩書

徳島大学大学院医歯薬学研究部長

発言要旨

現在の生殖補助医療の実施状況や体外受精、顕微授精などの技術の進歩について説明しました。

また、日本では体外受精による出生が年々増加しており、生殖補助医療は一般的な医療となっている一方で、第三者から提供された精子・卵子による生殖補助医療については、法整備が追い付いていない現状を指摘しました。

さらに、出自を知る権利、精子提供者の確保、代理懐胎、卵子提供など多くの倫理的・法的課題が残されており、学会による自主規制だけでは対応が難しい段階に来ているとの認識を示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 法整備の必要性を指摘
  • 出自を知る権利を重視
  • 学会による自主規制には限界があると説明
  • 生殖補助医療全体の制度設計を重視

知念関係官

所属・肩書

厚生労働省子ども家庭局母子保健課課長補佐

発言要旨

厚生労働省における生殖補助医療制度の検討経緯を説明しました。

平成15年の厚生科学審議会報告書や日本学術会議の提言では、提供精子・卵子による生殖補助医療、代理懐胎、出自を知る権利などについて一定の方向性が示されているものの、現在も法制化には至っていない状況を紹介しました。

また、現時点では国会における立法動向を注視している状況であると説明しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度検討の経緯を説明
  • 法制化の現状を整理
  • 今後の立法動向を注視する立場

棚村政行委員

所属・肩書

早稲田大学教授

発言要旨

生殖補助医療により生まれた子については、親子関係の安定を最優先に考える必要があると指摘しました。

また、夫婦双方の同意を前提とする制度設計や、子どもの利益を中心とした親子法制の構築が重要であるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 子どもの利益を重視
  • 親子関係の安定を重視
  • 同意を基礎とする制度設計を支持

大森啓子幹事

所属・肩書

弁護士(第二東京弁護士会所属)

発言要旨

親子法制だけを先行して整備するのではなく、生殖補助医療全体の制度や行為規制との整合性を十分に検討する必要があると指摘しました。

また、制度全体とのバランスを考慮しながら慎重に検討を進めるべきとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 制度全体との整合性を重視
  • 慎重な制度設計を支持

磯谷文明委員

所属・肩書

弁護士(東京弁護士会所属)

発言要旨

提供精子による生殖補助医療については、子どもの法的地位を明確にすることが重要であると指摘しました。

また、夫婦の意思を尊重しつつ、子どもの利益や出自を知る権利との調整を図る制度設計が必要であるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 子どもの法的安定性を重視
  • 出自を知る権利との調整を重視
  • 法整備を支持

中田裕康委員

所属・肩書

早稲田大学大学院法務研究科教授

発言要旨

生殖補助医療による親子関係については、夫婦の意思をどのように法的に評価するかが重要な論点であると指摘しました。

また、嫡出推定制度の見直しに伴う限定的な議論と、生殖補助医療全体の親子法制を整備する議論とは区別して検討する必要があるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 夫婦の同意の法的評価を重視
  • 段階的な制度整備を支持
  • 論点整理を重視

水野紀子委員

所属・肩書

白鷗大学大学院法務研究科教授

発言要旨

生殖補助医療は親子法制だけで完結する問題ではなく、医療制度や倫理的課題とも密接に関係していると指摘しました。

また、出自を知る権利や提供者情報の管理など、親子関係以外の制度設計についても十分な検討が必要であるとの考えを示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 生殖補助医療全体の制度設計を重視
  • 出自を知る権利を重視
  • 慎重な制度整備を支持

久保野恵美子幹事

所属・肩書

東北大学大学院法学研究科教授

発言要旨

嫡出推定制度の見直しに伴う検討として、生殖補助医療をどこまで対象とするのかを整理する必要があると指摘しました。

また、現在進められている国会での議論や他の制度整備との関係も踏まえ、部会で扱う範囲を明確にすることが重要であるとの認識を示しました。

編纂メモ(運営の評価ラベルではない)

  • 検討範囲の整理を重視
  • 他制度との整合性を重視
  • 慎重な議論を支持

sourcesから追記した発言

運営の評価ラベルは付けません。

髙橋良委員

所属・肩書

弁護士(神奈川県弁護士会所属)

発言要旨

今,議員立法の動きがあるということがあったんですけれども,ただ,その動きもまだあんまりはっきりよく見えないところもあって,それが進んだとしても,また具体的なことが決まるのに時間が掛かって,この間15年間中断したのが,やはり様々な医療だけではなくて,倫理的な問題だとか様々な観点の対立があって,なかなか進まなかったということを考えると,これから急にそれほど早く果たして進むのかどうか,そこもあんまりよく見えないように思います。今回,嫡出推定の規定を変えて,要は否認しやすくなるように,もしもなるとすると,DNA鑑定で,生殖補助医療で生まれた子が非常に不利な立場になってしまう。

(PDF p.33)

井上久美枝委員

所属・肩書

日本労働組合総連合会総合政策推進局総合局長

発言要旨

すみません。感想めいたところの発言で恐縮ですが,発言させていただきます。中間試案と同様の規律等を設けるとした場合と仮定したときなのですが,仮に同意の撤回,また否認権を認めるとすると,2段階にわたって否定のタイミングができることになるのではないかと思うのですね。

(PDF p.36)

大村敦志部会長

所属・肩書

学習院大学法科大学院教授

発言要旨

ありがとうございます。出自を知る権利につきましては,これまでにも何度か議論になりましたけれども,直接親子法制の中で何かを定めるということではないと思いますが,例えば,同意に関するルールを組むときに,出自を知る権利について,どういうスタンスを採るかということによって,同意の仕組みの作り方が違ってくるというような形で,影響が及ぶのではないかと思いますので,御指摘も踏まえて,もしこの問題について更に議論をするということであれば,検討していくということになろうかと思います。

(PDF p.42)

幡野弘樹幹事

所属・肩書

立教大学教授

発言要旨

この前の回に,この居所指定権のことを議論した際に,窪田委員の方から,監護権という概念がありながら,なぜより具体的な居所指定権というものをフランスやドイツで残しているのかという点について,外国法の状況を伺いたいという話がありました。前回,石綿先生からの御報告もあり,私自身の調査もまだ十分ではないのですが,私の知る限りで,フランス法の概要について,少しお話をさせていただきたいと思います。

(PDF p.45)

第7回の特徴

第7回では、嫡出推定制度そのものではなく、その見直しに伴って生じる生殖補助医療と親子法制の関係が初めて本格的なテーマとして取り上げられました。

特に、第三者提供精子による生殖補助医療で生まれた子の父子関係、夫の同意の法的意味、精子提供者の法的地位、出自を知る権利など、医学・倫理・法律が交錯する論点について幅広い意見交換が行われました。

また、多くの委員・幹事が、生殖補助医療全体に関する法整備と親子法制を切り離して考えることは難しい一方、無戸籍問題の解消を目的とする今回の部会でどこまで議論すべきかについて慎重な姿勢を示しました。制度全体との整合性を重視する意見が多く示されたことが、第7回の特徴といえます。

一次資料

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